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あなたのお子さんは職業について、未来について考えていますか?

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「大きくなったら何になる?」というテーマは、世界各国、誰にとっても普遍的で、とても基本的な問題です。小学校や中学校の卒業文集で書かされた記憶もあるでしょう。思い通りの道へと進んでいる人、違う方向へと向かった人。

それぞれだと思いますが、「あの時もっと、真剣に考えていればよかった」「もっと勉強しておくべきだった」という後悔が、ふとよぎったりするものです。

 高校時代は、いわゆる青春まっただ中。のびのびと自由な日々を過ごさせてあげることが大切ですが、広い視野で現代社会を見つめ、自分の適性を把握し、やがて訪れるチャレンジの時に、精一杯の力で望めるように、日ごろから、社会や職業についての知識を広げておくことが大事だと言えるのではないでしょうか。

社会を知る

 人間には、社会を構成する一員としての義務と、自分の幸せや自己実現を追求していく権利があります。子どもたちがより幸せな未来を実現させるためには、まず、今自分たちがどのような社会に暮らしているのか、ということを理解しておく必要があるでしょう。たとえどんな道を選ぶとしても、人間はたった一人で生きていくわけにはいきません。社会の中の一個人として、何らかの形で、人とのかかわり、世界とのかかわりが発生します。世の中のしくみを理解しないまま、自分の将来を組み立てていくことは、ルールを知らないでゲームを進めていくようなもの。とても不利です。新聞、インターネット、テレビなどの媒体などから、常にニュースに触れるクセをつけておきましょう。

 テレビドラマやタレントの話題を家族で楽しむのもいいことですが、新聞やニュースに関して、いつでも話が出来る空気を、両親が意図して作ってあげてはいかがでしょうか。そのためには、親自身も社会の状況を知っておく必要がありますが、わからないことは、子どもと「一緒に調べましょう」という姿勢で大丈夫。まずは、情報のアンテナを常に張り巡らせて、より広い社会を知ることで、同時に子どもの可能性も広がります。自分とは関係ない出来事に思えても、その中に、未知の仕事との出会いや、有益な情報を得るきっかけとなるものです。

仕事を知る

 「自分が何になりたいのか」「何に向いているのか」を考える上で、必要となってくるのは、まず、社会には、どのような職業があるのか、ということでしょう。そしてさらに、それぞれの職業に関しての内容を理解することも、もちろん大切です。現実と向き合うという点において、その職業から得られる賃金、リスク、自分がなれそうかどうかといった諸条件と職業を照らし合わせることも必要かもしれませんが、子どもたちには、まずは、自分が好きな事・何をしたいのか・どんな希望や夢を持っているのか、という視点から、未来の自分像を描いてほしいものです。 

 社会の成熟化、グローバル化によって、職業はどんどん増え、選択肢が広がっています。地元、県外という選択はもちろん、国内、国外といった選択肢も、珍しいことではなくなってきました。最初の一歩は、「知る」こと。職業体験といったプログラムに積極的に参加するのも、自分の可能性を知るいい経験です。普段何気なく目にしているテレビドラマや映画、小説やマンガ本の中にも、様々な職業が登場します。もちろん、描かれている内容は、実際とは違う場合もありますが、興味を喚起するという点で、有効だといえるでしょう。日常のあらゆる場所、あらゆる時間に『職業』を知る、理解するための情報ソースが散りばめられているのです。まずは、子どもにノートを用意させます。そのノートには、自分の興味を引いた出来事や職業を書き記していくのですが、ルールにとらわれず、書きなぐりでかまいませんし、誰に見せる必要もありません。ノートに書くということで、子ども自身、自分の考えを整理しやすくなりますし、目標に向かっての、意思が生まれます。親類や知人で、就職して間もない先輩がいれば、話を聞くのも有効です。大人目線ではなく、自分たちに近い目線からの話は、子どもにとっても、受け入れやすいアドバイスとなるでしょう。

夢と現実

 すべての人が、自分のなりたい職業に就いて、目標を達成できるわけではありません。受験と同じく、不合格や挫折を味わうこともあるでしょう。けれど、それを味あわせないために、親や先生が先回りして、「無理だからやめろ」と道を絶ってしまえば、子どもはずっと先まで後悔を残すかもしれません。学生時代というのは、間違いや迷いが許される時代です。大人の常識や目線で子どもの将来を狭めることなく、子どもの自由な発想や希望を、受け止めてあげたいものです。

 もちろん、夢と同時に、社会で働くということの厳しさ、自己責任の重さ、社会人として求められるマナーを教えていくことも大切です。自由という言葉の裏には、責任という重みが存在することをしっかりと教えていくことが、先輩社会人としての親の務めではないでしょうか。

文/黒川 弘子