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いま、キャリア教育をすすめることが求められています。
職場を体験することで生きる力を身につける

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今日、少子高齢社会の到来や産業・経済構造的変化が訪れ、雇用形態の多様化・流動化などを背景として、将来への不透明さが増幅しています。

それとともに、就職・進学を問わず、進路を巡る環境は大きく変化しており、「フリーター」やいわゆる「ニート」が大きな社会問題となっています。

このような状況の中、子どもたちが『生きる力』を身に付けることが求められています。

すなわち、明確な目的意識を持って日々の学業生活に取り組む姿勢をもつことや、激しい社会の変化に対応し、主体的に自己の進路を選択・決定できる能力を獲得すること。

そしてしっかりとした勤労観、職業観を身に付け、やがて直面するであろう様々な課題に柔軟にかつたくましく対応し、社会人・職業人として自立していくことができるようにするために、キャリア教育の推進が強く求められています。

子どもたちに、働く喜びや働くことの意義を教えています

 平成15年6月に文部科学大臣をはじめとする関係4閣僚により教育・雇用・経済政策の一層の連携強化による総合的な人材対策である『若者自立・挑戦プラン』が取りまとめられました。さらに関係府省が連携して各施策の具体化について検討を進めた「若者の自立・挑戦のためのアクションプラン」の強化において、キャリア教育は大きな柱として位置づけられ、若者が生きる自信と力をつける社会を実現するため、社会に出る前に職場見学や職場体験・インターンシップを推進することが基本方針として盛り込まれました。

 これらの政府方針を踏まえ、キャリア教育を一層推進するとともに、児童生徒が進路を主体的に選択・計画し、その後もより良く適応・進歩できる資質や能力を伸張するよう、各種進路指導上の支援を実施しています。

 その具体的な例として、「キャリア・スタート・ウィーク」があります。これは子どもたちの勤労観、職業観を育てるために、中学校において5日間以上の職場体験を行う学習活動です。「キャリア・スタート・ウィーク」は、子どもたちが働くことの喜びや厳しさを学び、学習に対する意欲を向上させるための貴重な体験となります。全国の子どもたちが将来に向かって大きく羽ばたくために、教職員のキャリア教育に対する共通理解はもとより、職場体験の機会の確保など、社会全体、国民一人ひとりの協力をもとに行われることとなります。

 実際に仕事をしている人と接し、自分自身も体験することで、働くことの意義や目的の理解、進んで働こうとする意欲や態度などを育みます。職業の意義についての基本的な理解・認識、自己を価値あるものとする自覚、夢や希望を実現しようとする意欲的な態度など、望ましい勤労観、職業観を育むまたとない機会となるでしょう。

自己の発見をすることとコミュニケーション能力の向上

 新たな自分を発見する場として、生徒が自己の個性や適性を把握し、自己理解を深めていく上で、様々な体験・経験を積み重ねることは極めて重要です。自分が役立つ存在であることを知ることができたり、自己の新たな可能性を見出したりする場合も少なくないでしょう。また、それぞれの職業の実像は、実際に仕事を経験し、働くことの厳しさや喜びなど、身をもって体験することを通して、生徒自らが体得していくのです。

 職場体験は、そこで働いている多くの職業人との触れ合いや交流を通して、異世代とのコミュニケーション能力を高めるとともに、社会人としての基本的マナーや言葉遣いなどを身に付けることができる場でもあります。核家族化や都市化が進む中で、異世代との交流が減少し、あいさつができない、言葉づかいを知らない、コミュニケーションがうまく図れないといった若者が増えているという指摘もあり、これが高い離職率の一因となっている場合も考えられます。コミュニケーション能力や社会的スキルを身に付ける上でも、職場体験の果たす役割は大きいといえます。

中学校・企業・家庭の三位一体となったサポート

 中学校でキャリア教育の中核である職場体験を通した学習活動の一層の推進を図るため、学校はもとより、受入企業・事業所等や家庭・保護者への理解を深めるとともに、活用していただくため、「中学校職場体験ガイド」として取りまとめました。中学校においては、職場体験の実施に向けて明確な目標のもとに期間・内容、教育課程への位置付け等を定め、受入企業・事業所等との共通理解を図りながら、職場体験を行うことが重要です。それと同時に、事前指導・事後指導において、職場体験が一過性の活動とならないよう留意し、取り組みを一層進めていきたいと考えています。

 また、受入企業・事業所等においては、次代を担う子どもたちを社会全体で育成するという観点に立ち、学校の取り組みやその活動を積極的に支援・協力をお願いしています。

 さらに、家庭・保護者においては、子どもの生活が働くことと疎遠になりがちです。子どもに家事の分担をさせたり、様々な職業生活の実際や仕事には達成感があることを家庭の中で有形無形のうちに感じ取らせたりするなど、家庭・保護者の役割やその影響の大きさを念頭に置くことが大切です。その上で家庭と学校とが一体となって、子どもの成長や発達を支えていくことがとても重要ではないでしょうか。

文/浅井 睦